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2011年04月13日

研修医、初日の出来事

春は、フレッシュな新人さん達も沢山いるようで
私自身も、もう随分前のことになりますが
若手の研修医だったことがあるんです(当然のことでしょうが)

忘れもしない出来事は、医者になった初日に起こりました
初めてピカピカの白衣を着て、ドキドキしながら大学病院の病棟に向かいました
病棟では、先輩医師や看護師さん達がすごく頼もしく思えて
自分も頑張るぞと意欲十分でした

先輩医師から、今度この患者さんの副主治医にするので
患者さんに挨拶をしてくるようにと指示されました
早速私は、一人でその患者さんの病室に向かいました
この時に何故一人で行ってしまったのか、知識がなかったとしか言えません

患者さんは70歳過ぎのおじいさんでした
「今度、副主治医をやらせていただきます松永です」
と丁寧に挨拶をしたところ
その患者さんは、ジッと私を見て、質問をしてきました
「先生は、この骨を何と言うのか知ってますか?」
患者さんは自分の胸を指差し、胸骨のしたの尖った部分を示していました
私は、あまりにも唐突な質問だったので、「はい?」と聞き返してしまいました
そこからが大変だったのです

そのおじいさんの患者さんは躁状態で入院中だったのです
「この骨の名前は、剣状突起というんだ」
「お前はそんなことも知らないで医者になったのか」
(知ってますと言いたくても、言葉を挟むスキがありませんでした)
「お前のような若い医者が患者を殺すんだ」
「剣状突起とは、剣(つるぎ)を胸に持っているということだ」
「これを教えて下さった、○○先生は偉い先生で・・・・」
話がマシンガンのように出てきて、延々と怒られ続けました
時間にして1時間半程経った頃に、ようやく解放してもらい
病室からナースステーションに戻って来ることができました
クタクタになっていて、もう精神科医は辞めようと思いました

その後も、その経験がトラウマとなり
研修医の頃は、躁状態の患者さんを診ると苦手意識が出ていました
でも今は、それも克服しています
今となっては若い頃のいい経験だったと思えるようになりました

いろんな分野の新人さん達には、是非いい経験をして大きく育ってもらいたいものだと思います


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Posted by まっちゃん  at 22:00 │Comments(2)日々の診療について

この記事へのコメント
まっちゃん先生こんばんは。
昨年末までいらしたお向かいの奥様が
まさにそんな感じでした。
奥様のマシンガントークをかわすには
ちょっとテクニックが要ります。
目上の奥様を無視するのも失礼だし、
かといって付き合うこともできないので、
大きな声で”お早うございます。ど~も~”と言いながら
急いで家に入ります。それでも私の背中に猛烈に
話かけてくるのですが、
ひたすら”ど~も~、ど~も~”と肩越しに笑顔を
見せつつ自宅に逃げ帰ります。
心やさしい普通の奥様の日もあるんですけどね。
多分先生のおっしゃる躁状態だったと今わかりました。
精神科の症状がもっと広く知れ渡れば、
私を含めご近所の皆さんの、奥様への理解も
少し違ったかもしれません。
Posted by ミモザ at 2011年04月19日 20:06
ミモザさん
お向かいの奥様は確かに躁状態かもしれないですね
それをかわすのは苦労しますよね
まずは家族の理解が必要かもしれないです
いい方向に向かうといいですね
Posted by まっちゃんまっちゃん at 2011年04月24日 21:24
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